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口走る告白-表-
その日は、本屋に用事があり、
いつもと違う帰り道を歩いていた。
お目当ての本を購入し、
お店を出ると最上先輩が一人で歩く姿を見かけた。
その見た目からか、他校の女子も
最上先輩の姿に振り返っていた。
「家この辺なのかな、、、」
私は話し掛けようか、掛けまいか、
考えながら最上先輩の後ろを歩いた。
これではまるで尾行しているかのようだ。
やっぱり声を掛けようと、
私は勇気をだし最上先輩の名前を呼んだ。
「最上先輩!!」
最上先輩は振り向き私の方を見ると首を傾げた。
「えっと、、誰だっけ?」
「1年A組の双葉葵です!!」
「、、、あぁ!いつも凪ちゃんと部活見に来てくれてる子だ」
最上先輩は思い出したかの様に笑う。
凪の事は覚えてるのに、
私の事は覚えていないようで、
私は胸の辺りが少しギュッと苦しくなった。
いざ、最上先輩を呼び止めたものの、
緊張のあまり話す内容が浮かばなくて、
おどおどしていると、最上先輩が口を開く。
「じゃあ、俺帰るね」
「待ってください!!」
最上先輩が帰りそうになるのを必死で止めた。
最上先輩と二人きりになれるチャンスなんて
もうないかもしれない。
”もう少し一緒にいたい”
そう思ったら私の口が勝手に動いてた。
「好きです!先輩、私と付き合って下さい」
私は何を言ってしまったのだろうか、事の重大さに気付く。
最上輩は困ったような苦笑いをしていた。
その時、私は感じた。あ、私フラれるんだ。
「、、ごめん。俺好きな子いるんだ」
やはり私は、最上先輩にあっさりとフラれてしまった。
当然と言えば当然なのだろう。
だって最上先輩は、
私の名前すら知らないのだから。
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