うたた寝

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「ねぇ瑞穂…!」  授業中にうたた寝していたら、後ろの席の住乃に起こされた。  私はそれを不快に思った。  でもなんで不快になったのか分からない。  私はその理由について考察してみる事にした。  まず初めに考えたのは元々、つまりは起こされる前から私が気分を害していた、という可能性だ。  すぐにこの可能性は無いと分かった。  何故なら意識は無かったけれど、確かに私はうたた寝している間、心地よい気持ちをだったからだ。  次に考えたのは住乃の行動が悪意を孕んでいて、私はその意図通りにまんまと嫌な気分になったという可能性。  これも間違っていると分かった。  授業中にうとうとしている人を起こすという行動は明らかに好意を持っていないと、し得ない行為であるからだ。  放置しておくだけでその人の貴重な勉強時間を自らの手を汚すことなく減らす事が出来る、なかなか無い機会である。  まあ私は毎授業うたた寝しているんだけども。  ここで私の思考は行き詰まってしまった。  起こされたことで私の気持ちが害されたのは事実。  住乃の行動が優しさから行われたもので、人を嫌な気分にさせる様な行動ではないということも自明。  この二項間にある矛盾はなんだろうか……必死に考える。  その時、私ははたと気づく。  私の捉え方がおかしかったんだ!  友人に起こされた事による恥ずかしさでネガティブに捉えてしまっていたんだ!  あぁなんて事だ‥…  自分の感情に身を任せて人の行動を悪く捉えるなんて!  私は恥ずかしくて……頭の中がぐちゃぐちゃになって……  バンっ!  ロケットもビックリな超高速スピードで立ち上がり、後ろの住乃の方を振り返った。  そして一言、叫ぶ。 「せっかく気持ち良く寝てたのに起こさないでよ!!もう!!」 「……瑞穂、ちょっと……座ってよ、授業中だって……」  え?  周りを見回してみるとみんながこっちを見てクスクスと笑っている。  黒板前では先生が怖い顔をして立っている。  ええ〜まだ授業中だったの!?  ずっと考え事してたからもう休憩時間かと思ってた!  いゃ〜ん恥ずかしい〜  私は腰をクネクネ動かして身悶えしながら着席した。
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