第2話 田舎の個人商店はコンビニを騙る

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 さて、そろそろ本来の目的を果たさなくてはなるまい。大幅なサクセンの遅れは、隊員たちの機嫌を損ねるおそれがある。そう思って、僕はもう目と鼻の先の、村上商店へ急いだ。  店先に置かれた小さなアイスケースが目に入ると、いささか涼しくなった心地がする。  僕は暑さを急いだせいで少し切れ気味になった息を整えつつ、アイスケースの中を覗き込んだ。お目当てのチューペットは、僕を待っていたかのように鎮座しており、僕はほっと息を吐いた。もし品切れだったら、秘密基地に戻ったときにガキどもが僕をボコ殴りにしていたことだろう。我が職場ではこの程度のパワハラは日常茶飯事なのだ。労働基準監督署に相談したらなんとかしてくれんのかなあ。無理だろうなあ、たぶん。ブラック企業、ダメ、絶対。  ケースの内壁についた霜が火照った手に心地よい。ずっとここに手を浸していたい衝動に駆られながら、僕はなんとかチューペットを取り出した。コンビニのアイスケースを浴槽と勘違いしたバカッターの気持ちが、今なんとなくわかった気がしたよ。  さて、問題はここからだ。  この村上商店、一つ大きな問題を抱えていることで有名だ。
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