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そんなこんなで絶海の孤島に移り住んできたわけだが、よく言えば団結した、悪く言えば閉鎖した島のコミュニティによそ者が入り込んでいくというのは、なかなかに難しい。おかげで僕の中学一年生としての人生の前半は、漠然とした疎外感に包まれたまま終わっていくこととなった。
というか、だいたいにして僕と同じ学年の子供が島に一人もいないっておかしいだろ。せめて同い年が一人でもいてくれれば、もう少し楽しくやれたものを。そう思うと途端に恨めしくなって、右手に見える小高い丘に建つ、こぢんまりとした小中一体の校舎に目を向ける。
二階建て木造建築の校舎は、オンボロというわけではないが、三百六十度の潮風の影響なのかハゲかかっている塗装が痛ましい。都会の洗練された建造物に囲まれて育ってきた僕から見ると、この島の建物は全てが前時代からタイムスリップしてきたかのように見えた。
そんな校舎で今現在共に学んでいる学友は、そのほとんどが僕より年下だ。僕より上は中三に一人。残りは小学生という名のクソガキ共が五、六人だ。年上の僕を炎天下に歩かせるようなクソガキ共だ。
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