1人が本棚に入れています
本棚に追加
僕のこの島での生活において、彼女の存在は大きい。たった一人の先輩ということもあり、教わることは多かった。部活の無いこの島においての放課後の過ごし方を教えてくれたのも彼女だ。それが件の秘密基地でガキどもの作るサクセンに従事することだとは夢にも思わなかったが。
そして僕が今、降りかかる夏にうんざりしながら歩いているのも、そのサクセンの一環である。全ては、ガキどもの中でも年長の、こんがり日に焼けた少年の発言から始まった。
「諸君、本日は非常に暑い」
「我々、子供たちはサクセンの完全遂行のために、熱中症に気をつけなければならない」
「しかるに我々は、水分、もとい適切な栄養を補給しなければなるまい」
だいたいこんなような口上をのたまった末、従軍歴の一番浅い僕が、コンビニにパッキンアイスを買いに行くという任務を仰せつかった。つまり、パシリである。ガキの使いってそういう意味じゃなかったはずなんだけどなあ……。
普段の僕だったら、年下の命令に(お願いではない、命令なのだ)従ったりせず、家に直帰するところだが、「この子達が買いに行って何かあったりしたら大変だから、ね? お願い」と先輩に両手を合わせられてしまったら、断るわけにもいかない。これは別に先輩が可愛いからとか美少女だからとか、そのせいであまり上手く先輩としゃべれないからとか、そういうわけではない。直属の先輩命令だからね! 縦社会の日本では断れるわけないよね!
最初のコメントを投稿しよう!