第2話 田舎の個人商店はコンビニを騙る

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第2話 田舎の個人商店はコンビニを騙る

 秘密基地から目的のコンビニまでは、徒歩五分ほどの距離だ。  ところで、信号も無いような田舎島に、コンビニなんかあるのかというのは、僕を含め、移住間もない我が家全員が疑問に思ったことである。  その疑問は、果たしてすぐに解決されたのだが、なんということはない。島民がこぞって呼ぶコンビニとは、ただの個人商店のことだったのである。  コンビニこと村上商店は、老婆が一人で切り盛りする小さな商店である。取扱商品は、主に酒類とたばこ、加えて清涼飲料と駄菓子が置いてある。みりんや醤油などの各種調味料も一通り販売しているため、島民は結構頻繁にこの店を利用するようである。ガキたちが放課後にこの店にたむろして駄菓子を貪っている姿も、しばしば目にする。  そんな村上商店の店先には、小さなアイスケースが置かれている。中には、ゴリゴリちゃんや犠牲フライバーなど、いかにもな駄菓子系アイスが入っており、先週あたりから、ガキどものおやつ予算案がアイスケース内の商品用にシフトしているようであった。  今日の僕の目的商品もその中の一つだ。奴らがパッキンアイスと呼ぶ(僕は断然チューペット派だ)、カラフル☆不健康な見た目の棒状アイスは、値段の割に量が多く、真ん中から割って分けやすいため、大人数で食べるのに適している。解凍してジュースとして飲んでも美味しいよ!
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