第2話 田舎の個人商店はコンビニを騙る

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 こういった田舎にはありがちなことだが、この島にも土着の迷信がいくつか存在する。この島に来て以来、子供たちや先輩を通じて僕もその一部を知ることとなった。腐った魚は海坊主を呼び寄せる、夜中に玄関の灯りを消してはならない、そして、神社に近づいた子供は神隠しにあう、というものだった。  この島に神社は一つしかないから、この迷信の神社も、おそらくこのボロボロ神社のことを指しているのだろう。  しかし、祠に近寄ってみても、神隠しに遭いそうなほどの霊力とかミラクルパワー的なものは微塵も感じることができない。確かに、ボロボロな神社というのはそれだけでどこか不気味なものだが、せいぜいその程度のものであり、よくて地元の肝試しスポットといった風情である。おそらくはこの迷信も、そんな肝試しの雰囲気づくりのエピソードがいつの間にか広まったものなのだろう。知らんけど。  なんなら、いっそここを心霊スポットとして世に広めてもいいかもしれない。夏休みを利用して馬鹿な大学生とかが、きもだめしだーうぇーいうぇーいとか騒いで、この島の観光産業の活性化に一役買ってくれるかもしれない。知らんけど。
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