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その時、横で溜息をつきながら、修治が言葉を挟んだ。
「植松。俺たちがやっている偉大な研究の事なんて、コイツらに話たって分かるもんか。」
それに反論して、叶恵が植松の方を向いて、同情を乞う。
「少〜しぐらいなら、分かるよねぇ、植松くん。私たち、一般庶民でも〜。」
植松は少々困り果てて、曖昧に頷くしかなかった。
それに構わず叶恵が、更に植松へ質問を投げかける。
「植松くんって、そんな研究所に勤めているぐらいだから、やっぱり一流大学を卒業してるの?」
植松は、片手を振りながら否定した。
「いいえ。一流大学だなんて、とんでもない。普通の大学で、それなりに学んだぐらいで・・。」
「へえ〜。そんなもんなの。」
叶恵が、ちゃぶ台に頬杖をついて聞いている。
「いや、あのね。さっきいた、うちの息子の貴志なんだけど。今はまだ高校生だけど、この先どこか就職先を見つけないといけないしね。アルバイトは頑張ってるけど。」
急に修治が、悪態をついてきた。
「アルバイトなんか、やっていたってダメだ!目標を決めて、勉強しないと!」
叶恵はそれに対して、横目でチラリと見ただけで、また植松の方を向き直す。
植松は頭を掻きながら、説明した。
「まあ、選ぶコースや目指す所によって、選択肢が色々あるんですが。大学を卒業した後、更にその上の大学院を目指す場合・・・。」
「大学院⁈」
その時点で叶恵は、途方もないような顔をして驚きを隠せない。植松が話し続ける。
「・・・で、例えば有名な微生物病研究所の大阪大学大学院で言うなら、そこの教員は、医学研究科、生命機能研究科、理学研究科、薬学研究科などを担当しており、本人が希望する研究室によって、受験研究科も変わってくるんですよ。」
「・・大学院⁈ 研究科⁈ ・・・何か、難しくて、吐きそうになってきたよ。」
話を聞いていた叶恵は、顔色が曇ってきた。
植松は、そのままの流れで話を続ける。
「そして、卒業した後の進路は、東京大学・京都大学など国内各大学助教や研究員。また企業では、有名大手の薬品会社や製薬会社。その他は、日赤や国立感染症研究所、医薬品食品衛生研究所などがあります。」
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