ビードロのかけら

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「ぜんまい少女とオルゴール」 ぜんまいねじで動くお人形 そのねじを巻くのはだぁれ? それは命がやどるきらきらの魔法 ふんわりとしたほっぺとくちびる 細い指先 長いまつげ 可愛くてあやうげでまるで砂糖菓子 きこえるオルゴールの音色 シャボン玉のように儚く セピアとカラフルとみるくがまざった世界 そっと目をあけ 生を刻みはじめる 混ざる色とりどりの世界 混ざるモノクロの世界 そのどれもが少女の目には泡や星のように淡くきらめいて見える 生まれた日 目覚めた日 二つの誕生日 少女はオルゴールの音色を紡いでいく 光ふりそそぎ闇が優しく包むこの世界で 音色という生の物語を 彼女だけの音色を
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