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「すみれ」
すみれは夜を一滴たらした粉砂糖の夢
少女と大人の溶けあう世界
甘くひんやりとした 澄んだ夜空の香り
その姿は愛くるしく 愛という花言葉がよく似合う
この姿を空気ごと砂糖漬けにして ひっそりと抱きしめたい
この姿を空気ごとキャンディにしたら それはきっと懐かしい夢の味
おしろいのようにふわふわとした夢うつつ
少女と大人 現実と夢をスキップする
すみれはその秘密の鍵
そっとリボンをかけ
ポシェットやポケットにしのばせる
そこだけぽっとあたたかになる
しんしんとまどろむ気持ち まどろむ空気
秘密をひそやかに隠しもち
懐かしいちくりとした痛みとともに甘い空気に包まれる
あめ色と夜空色の混ざる世界
ふわりふわりとゆらめきながら
溶けあう世界を慈しみ
ウエハースのように今日を重ね生きていく
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