少女時代

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1970年のある暑い夏の日、ジュリーはカリフォルニア州ロサンゼルスに生まれた。 敬虔なクリスチャンだった両親と連れ立ち、日曜日にジュリーは必ず教会に行き、親切で熱心な牧師の話を聞いて育った。 世界の終わりにはイエス様が再臨され、全ての人を甦らせて裁きを行います。 その裁きによって永遠の命を与えられる者と地獄に堕ちる者とが分かれるのです── 「とても素敵な教えだわ!ああ、早く世界の終わりが来ないかしら!」 牧師の教えに、ジュリーは目を輝かせた。 最初、彼女は獣医になろうと考えていたが、どういうわけか動物たちは彼女に少しも懐かなかったので、小学生になった頃ジュリーは看護師の道に方向転換することにした。 エキゾチックな黒髪をしたジュリーは大変な美人で、おまけに彼女は天才的に歌が上手かった。 「ジュリー、君の歌声は素晴らしい!是非今後も聖歌隊で歌って欲しい。」 初めて彼女の歌を聞いた牧師はジュリーを熱心に説得し、程なくしてジュリーは聖歌隊の中心メンバーとなった。 「ジュリー、歌手になるのはどうだ?」 自動車工場で働く父親のジェームズは、娘が聖歌隊の歌い手だということがとても自慢で、彼女が14歳になった時そう提案した。 「そうね。とてもいいアイデアだわパパ。でもあたし、将来は人を幸せにする仕事をしたいの。」 「お前の歌はきっとたくさんの人を幸せにするぞ?それに、歌手は学業と両立できる。今のうちは歌手をやって、大人になってから看護師になることだって出来るじゃないか。」 父親の言うことに一応の説得力を感じたジュリーは、ハイスクールの間だけ、という条件で歌手になった。
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