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タクシーを降りて驚いた。だってどこにも店らしきものが無い。二階建て、ファミリー向けの一戸建てが立ち並ぶ住宅街の一画だった。
「ここだよ。」
「ここ?…ここって……」
高藤課長の指し示す家は、白い外壁のごくごく普通の二階建ての一軒家。どこにも看板らしき物は見当たらない。あるのは『高藤』という表札だけだ。
「俺の実家。入って。」
そう言うなり、高藤課長は「ただいまー」と大きな声で言いながら玄関に入ってしまう。私も慌てて後を追った。
そんなっ、そんなっ、いきなりご実家にご挨拶だなんて。高藤課長、私まだ心の準備がっ………。
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