・・・。

1/1
83人が本棚に入れています
本棚に追加
/79ページ

・・・。

 腕に並んだ、丸い小さな傷痕(きずあと)。十年以上まえの、バカな傷痕。その横に、タバコの先を押し付ける。  オレンジ色の光が、皮膚の中に埋もれていく。  肌を()かし、肉を焼く。  くそムカつく……。  半年経っても、忘れられない。逃げるように別れたあの男のことが、今も頭から、離れない。  もう一度、あの白い肌に舌を()わせたい。もう一度、あの男を抱きたい……。    肌の色を失った、ぐずぐずの丸い傷。その横に、タバコの先を押し付ける。  オレンジ色の光が、皮膚の中に埋もれていく……。    バカみてぇ。俺は、中学生のガキか……。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!