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男の目から、視線を下へずらしていく。形を戻した男の唇に、指でそっと触れる。
厚みはなくても、柔らかい唇。
わずかに開いた隙間に、中指と薬指を滑り込ませる……。と、すぐにコツリと男の歯に当たった。
男の目を見続けたまま、何も言葉を掛けなかった。促すことも、強制することもしない。
ただ、じっと見ていた。
それでも男の口は、ゆっくり開いていった。唇を、歯を、舌を、感じながら、指は奥へと進んでいく。
融けるように、熱い口内。
男は、俺の指の根元まで、全てを受け入れた。
ぞくぞくとする快感が、血管を通って全身へ広がっていく。
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