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男の細い腰を掴む。
骨に薄い皮膚を巻きつけただけの、細い腰。
うしろから体をぶつける。
どれだけ男を見下ろしたところで、たとえどんなに高い場所から見下ろしたところで、ケツを向かせたところで……、俺の苛立ちが消えることはない。
弓のように反った、さらりとした白い背中。
男の髪が、跳ねるように揺れる。
うしろから体をぶつける。
何度も、何度も、何度も……。
それは、快楽や欲のためなんかじゃない。もちろん、愛なんてものも無い。
自分の中の苛立ちを、発散するためだけの行為。
ただ、それだけでしかなかった。
苦しい……。
目のまえに居る。確かに、男は目のまえに居る。
肉の感触、体温、繋がった体……。
それなのに、どうしてこんなに遠くに感じる。
どうしてこんなに、苦しくなる……。
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