1.半年ぶり。

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 男の目が、動く。  ナイフで()いたような細い切り口の中で、ガラス玉がこちらを向いた。  くそムカつく……。  マジで、ムカつく。こいつはなんも、変わんねぇ。ムカつくくらい、なんも変わんねぇ。  そのガラス玉のような、感情のない真っ黒な目。  ただ、そこにはめ込まれただけの目。  いつもそうだった。  上に(おお)いかぶさる俺を見ているようで、本当は俺を通り越し、真っ白な天井を……いや、その天井さえも通り越して、もっと遠くを見ているような目をしていた。  いつも、そうだった。  一度でいい。    一度でいいから、その目に俺を映したかった。  一度でいいから、その目に熱い感情を(とも)してみたかった。  一度でいい……。  一度でいいから、その目に俺を、映してほしかった……。
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