1.半年ぶり。

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「タバコ!」  うしろから、男の(とが)った声が聞こえた。 「で、どう?」  顔だけを向ける。  男は俺を素通りし、ローテーブルの前で止まった。  俺の目は、男の後頭部を見ていた。  真っ黒な髪を、耳の横まで高く刈り上げ、その襟足(えりあし)からすらりと流れるように続く、細く白い首。  舌がうずうずした。 「何がっ!」    男は振り返ると、手に取った灰皿を俺の目のまえに突き出した。前髪のすぐ下から、刺すような視線を向けながら。 「ヤれんのかって聞いてんの」  灰皿を受け取り、タバコの火を消しながら言った。 「ヤりたきゃ風呂入ってこいよ」  男の表情からは、なんの感情も伝わってこなかった。
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