1.半年ぶり。

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 ダウンを脱ぎ捨て、手首にぶら下げたビニール袋を床に置いた。 「なぁ、お前、いま彼氏居んの?」  腕を交差させ、ニットの(すそ)(つか)みながら風呂場へ向かう。 「とっとと風呂入れよ……」  苛立(いらだ)ちを含んだ小さな声が、背中にぶつけられた。    洗面台には、歯ブラシが一本だけ立っていた。そこから、親しい人間が頻繁(ひんぱん)に出入りしているようすは、感じられなかった。  俺は、「あー……」と、一人納得した。  洗面所から顔だけを(のぞ)かせ「()るもんは準備してきたからさ、それ、使ってよ」にこりと笑う。  身一つで来たところで、ヤれねぇだろうことは、想定内。セックスすんのに必要なもん、一式、揃えてきた。 「あっ。んじゃ、好きなヤツは?」  思い出したように聞いた。 「余計なこと言ってねぇで、とっとと入れよ」 「へいへい」
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