1.半年ぶり。

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 パチン。    ドア横のスイッチを点ける。  この部屋も、変わんねぇなぁ。  ベッドに勢いよく飛び込み、天井をぼんやり見ながら思った。背中では、スプリングが波のように揺れていた。  寝室もリビングと同じ、真っ白な壁、床、天井。  黒色のベッドに白のシーツ。黒の布団に、黒のベッドカバー。黒い机は、壁にぴたりとくっつけて置かれている。  この部屋のカーテンも、やはりきっちりと閉められていた。  体勢を変え、机の上のパソコンに目を向けた。  大きな画面には、淡いピンク色と紫色の円が、重なり合うように配置され、その上に、文字らしきものが書かれている画像が、映し出されていた。  おそらく仕事中だったんだろう。  男は在宅で、デザインかなんかの仕事をしている。正直、よく知らない。  付き合っているときに、仕事の話を聞いたことはあった。でも、男はあまり話したがらなかったし、俺も、深くは聞かなかった。
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