1.半年ぶり。

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 ピンポーン。    寝室を出て、リビングにあるドアホンのモニターを見る。煙草(たばこ)(くわ)えた、見覚えのある銀髪の男が映っていた。  溜め息を()く。  チェーンを外し、鍵を二個開ける。 「何?」  開いたドアの隙間(すきま)から、 「よぉ。とりあえずさびーから、中入れて」  明るい色の付いた声が、流れ込んできた。  男の手には、小さなビニール袋がぶら下がっている。  ドアの取っ手に手を掛けたままのオレを、強引に押し、男は煙草と共に玄関の中へ入ってきた。 「でっ、何?」 「ちょっとさ、冷たくない? 半年ぶりに会う元彼に向かって、その言い方」 「だから、何?」 「ヤりに来た」  明るい声。  男の声は、赤やオレンジや黄色みたいな色をしている。オレの部屋に、そんな色の音は存在しない。    声のわりに、男は強い力でオレの目を見ていた。    男は玄関にブーツを脱ぎ捨てると、「うわ、あったけー」独り言を言いながら、部屋の中へずけずけと入っていった。    その指には、煙草が(はさ)まっている。
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