3.数十分ぶり。

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「お前ってさ、ガキんときどんなヤツだった?」    オレの残りを食いながら、男が聞いた。 「は?」 「勉強できた? 部活は?」  男はくだらないことを聞く。 「それ、知る必要ある?」 「必要はないけど、興味はあるでしょ」 「それは、そういう話ができるヤツの質問だな」 「へ? どゆこと?」   顔を小さく覗き込む男の声を聞き流し、マグカップに口を付けた。 「ま、いっか。夜は長いしな!」  男はにっと笑った。 「は?」 「今日、泊まってくわ。もう遅いし」  男の声が、少し弾んでいるように聞こえた。 「はぁっ? まだ十時だろうが。とっとと帰れよ」 「冷たいこと言うなって。とりあえずこれ、片付けるわ」  食器を重ね、男は逃げるようにキッチンへ向かった。
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