95人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前ってさ、ガキんときどんなヤツだった?」
オレの残りを食いながら、男が聞いた。
「は?」
「勉強できた? 部活は?」
男はくだらないことを聞く。
「それ、知る必要ある?」
「必要はないけど、興味はあるでしょ」
「それは、そういう話ができるヤツの質問だな」
「へ? どゆこと?」
顔を小さく覗き込む男の声を聞き流し、マグカップに口を付けた。
「ま、いっか。夜は長いしな!」
男はにっと笑った。
「は?」
「今日、泊まってくわ。もう遅いし」
男の声が、少し弾んでいるように聞こえた。
「はぁっ? まだ十時だろうが。とっとと帰れよ」
「冷たいこと言うなって。とりあえずこれ、片付けるわ」
食器を重ね、男は逃げるようにキッチンへ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!