93人が本棚に入れています
本棚に追加
ふと、肩に重みを感じた。
上からぐっと押すような、突き刺すような重み。
肩に顎を載せた男が、
「タバコちょーだい」
少し覗き込むようにして言った。
咥えていた煙草を指に挟み、甘えた声を出す男の前に差し出した。
男は少しだけ身を乗り出すようにして、煙草を咥えた。
指先に、男の唇が触れる。
耳元で、軽く息を吸う音が聞こえ、すぐに吐き出す音が聞こえた。
わずかに長さを小さくした煙草を咥え、仕事のことをぼんやり考える。
少し寝るか、それとも、徹夜をして一気に片付けるか。
眠気のせいか、微妙に眩暈がする。
ただ、「今日中に」と思っていた分が、まだ終わっていなかった。
灰皿に煙草を押し付け、火を消した。
凛とした冷たい空気が、少しくらいは、眠気を覚ましてくれたんじゃないかと期待していた。
最初のコメントを投稿しよう!