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肩の上で、男が小さく笑ったような気がした。
「ねぇ……、キスしていい?」
男がくだらないことを聞いた。
「今まで許可なんて取ったことねぇだろ」
次の言葉を塞ぐように、煙草を口に咥えた。
オレは、動揺しているんだろうか?
煙草を持つ手が、わずかに震えているのが目に入り、咄嗟に腕に力を入れ、それを否定した。
バカな男の、バカな言葉。
そんなものに、動揺しているのか?
意識して、煙草を深く吸い込んだ。
くだらない疑念なんか、煙と一緒に飲み込んでしまおう、と。
「まぁ、そうなんだけどさ……。もし可能なら、お前からしてほしいなー、って」
男の声は、いつもの明るい声と、低く暗い声が混じったような、複雑な色をしていた。
肺いっぱいに溜め込んだ煙を、大きく吐き出すと、オレは男の腕の中で、体を反転させた。
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