4.午前三時。

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 驚いたように、一瞬だけ目を見開いた男を、下から見上げる。 「(かが)め」  身長のことで、特にコンプレックスがあるわけではない。  ただオレの中に、この見上げるという行為が、どこか気に入らない、という思いがあるのかもしれない。  それは行為自体が、なのか、相手が男だから、なのか。  自分でも、よく分からなかった。  (ひざ)を曲げ、男は素直に屈んだ。    いつも上にあった男の顔が、オレより低い位置へ移動した。  それを見下ろしながら、煙草を咥え、ゆっくり吸い込んだ。    何を思っているのか、男はじっと、オレの目を見ていた。  その視線を跳ね返すように、オレもじっと見続けた。  いつもオレを見下ろしていた、男の目を。
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