4.午前三時。

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「あっ……」  無意識に喉から()れ出したような、半分(かす)れた音。  すぐ横で、聞こえた。    男の手がすっと伸び、シャツの(えり)を引っ張った。  男の顔が、おもむろに近付く。  熱い息が首に掛かり、男の舌が……這う。  瞬間、ちりちりと熱い痛みが走り、反射的に男を(ひじ)で押し返した。 「やめろよ」  傷を隠すように、襟の上から手で覆った。 「痛い?」 「は? 痛いに決まってんだろ」 「ごめん。こんなんなってるとは思わなかった」  男は透視でもできるんだろうか。  首にある()み傷に、真っ直ぐ視線を向けている。  オレの手で隠され、見えるはずもない嚙み傷に、視線をずっと向けていた。  その熱を含んだ視線に、傷だけでなく、手の甲までじりじりと焼けていくようだった。
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