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歩くたびに、風はどんどん勢いを増していく。風の発生源に近づいている証拠だ。
けれども、歩いても歩いても外に出られそうな気が全くしない。寧ろ、森の奥へ奥へと入って行っているような気がする。
この風って、森の外から吹き込んでいるんじゃないの?
「おい、あれ見ろよ」
さらに先へと進み続けると、ユウガオが何かに気付いた。
「何て大きいの……」
「伝承で聞いたことはあったけど、実物を見るのは初めてだ……」
前方に蠢くのは、丘と見紛う程の巨大な影ーー風の正体は、森に住む巨人型魔族"トロール"の寝息だったのだ。
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