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「ちょっと、しっかりしてよ2人とも!」
これでも勇者なの?退魔の力を持っているということを除けば、ただの青年に過ぎないわ。
ユウガオだって、こんなワイルドな風貌をしておきながら、真っ先に食べ物の心配をするなんて……あなたならその辺の食べられる動植物くらいすぐに狩れるでしょう?
「マリー、何か良い案があるのか?」
「風よ!さっきから吹いてきている薄気味悪いこの風の方向に歩くのよ。その役立たずの"導きのなんちゃら"なんて捨ててしまいなさいっ」
「いいこと言うじゃん、その案……俺は乗ったぜ」
「……わかった、そうしよう」
タカオは古びた方位磁針に何か思い入れがあるのか、しばらく物思いに耽るように見つめた後、捨てずにこっそりとポケットにしまっていた。
「さあ、行くわよ」
私たちは、空気の流れてくる方向へとひたすらに歩みを進めた。
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