3.救いの女神

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 「ついてこい…」  地を這い伝わるような低い声で喋ると、怪物は私たちを森の奥へと導いた。  トロールは一歩一歩がかなりゆっくりだが、歩幅はとてつもなく大きいので、小走りで追いかけて丁度良いくらいのペースだった。  「お待ちくださいっ!」  しばらく森を進んでいると、背後から急に少女の声が聞こえてきた。  「皆様、そちらは底無し沼のある方向ですわっ」  すると、トロールは振り返って気不味(きまず)そうな表情を浮かべた。  「何だって?それは本当なのか⁉︎」  「おいデカブツ!俺たちを騙してたのか?」  企みがバレたトロールは逃げようとして、全身の贅肉を揺らしながら大股で駆け出す。  「待ちやがれっ」  「お待ちください。森の出口なら、(わたくし)がご案内致しますわ」  追いかけようとするユウガオだったが、声の主に制止されて立ち止まる。  私たちがその声の方へと振り返ると、そこに立っていたのは見覚えのある美少女だった。  「あ、あなたは……ポワール⁉︎」  幸運なことに、探し人は自分の方から私たちの目の前に現れてくれたのだ。
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