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「ポワール!無事であったか……本当に良かった」
屋敷の扉を開くと、村長が涙を浮かべながら喜び、愛娘に抱きついた。
その横で、杖をついて立っている母親も安堵した表情を浮かべている。
「お母様……私、腰の痛みに効く薬草を取りに行こうとして。心配かけてごめんなさいっ!でも、薬草の代わりに"癒しの力"を持った救いの女神をお連れしましたわ」
私の方を期待の眼差しで見るポワール。
この娘には助けられっぱなしだったけど、ここで私が母の腰痛を治してあげれば借りは十分に返せる!
ポワールの母の腰に手をかざすと、私は念を込めて癒しの力を送った。
この程度の身体の不具合なら、錫杖を使うまでもない。
「ああっ、凄い……みるみる痛みが消えていくわ」
彼女の母親は、腰痛が完治して杖などなくても元気に歩き回れるようになった。
無駄に階段を上り下りして腰が万全の状態になったのを確認する母。
その様子を見て娘が心配そうに声をかける。
「お母様っ!治ったからって調子に乗ったらまた痛めてしまいますよっ」
「そうね。またそちらのお嬢さんに治してもらうのも申し訳ないし、再発しないよう養生するわね。うふふ」
うっかり客人の前で燥ぎ過ぎてしまったことを恥じらう母。
それにしても、このポワールという少女……最初は森で迷子になるような間抜けだと思ってたけれど、意外としっかり者だ。
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