3.救いの女神

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 「さて、村長さんよぉ。奥さんの腰も完治したことだし、礼のほうを宜しく頼むぜ」  もともとは"娘を見つけて連れ帰る"という依頼だったはずだけど、それを平然と"腰痛の治癒"に摺り替えて謝礼を要求するユウガオ。  やっぱりこの(やから)からはアウトローな香りがプンプンする。  「だったら、私が旅のお供をするというのはいかがでしょう?」  「ポワールよ、何を言っているんだ?彼らは魔王を倒すために旅をしている……そんな危険な旅にお前をついて行かせる訳にはいかない」  急に仲間になりたいと提案するポワールを必死で止める父親。  「ほほう。俺たちだけじゃああの森を抜けられない……となると、お嬢様が旅に同行するというのは謝礼として申し分ないな」  「待って!確かに彼女は森で迷わない……けれども、森を抜けた後は誰が集落へ帰すの?」  私はその役目をするのは御免よ。  大体、癒し手の存在は危険を伴う旅になくてはならない存在。  勇者の力も魔王を倒すのに必須だから、必然的にユウガオが脱退することになるかしら?  「いいえ、森を抜けた後もずっとお供させていただく覚悟です。魔王を倒すまで……」  その場にいた一同は耳を疑った。  森を抜けるまでは確かに役に立つだろうけど、その後の冒険では間違いなく戦力外。  魔王の息がかかった強者たちが跋扈する北の大地で足手纏いを連れて旅を続けるのはリスクが高すぎる。  「私だって戦いの術は知っています……微力でもお役に立てる自身はありますわ」  「しかし…」  首を縦に振ることなど到底できないタカオ。  「でしたら勇者様、私とお手合わせ願えないでしょうか?」
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