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「何を言ってるんだ?」
「私、勇者様たちのように剣は扱えないけれど、素手なら多少は自信がありますわ」
拳を構え、タカオと戦う気満々のポワール。
「おい、この娘本気だぞ……これはやるしかなさそうだぜ」
「タカオ!世間知らずの箱入り娘に現実を見せてやるのよ」
ポワールと拳を交えることに躊躇するタカオを、私もユウガオも後押しした。
聖剣Xを置き、鎧を脱いで対等な格好になるタカオ。
「タカオ様からどうぞ、かかってきてください。手加減無用ですわ!」
「えっ?でも……」
見るからに非力そうな彼女に対し、本気で殴りかかることなんて彼にはできるはずもなかった。
「だったら、私のほうから……攻めはあんまり得意じゃないのですが、とっておきの技を!」
ポワールは姿勢を低くするとほんの一瞬にしてタカオに接近し、ガラ空きの懐に勢いよく拳を突き出した。
「おうっ……⁉︎」
腹を抑えて床に倒れ込むタカオ。
「ウソだろ…?あの動き、本物の達人じゃねぇか」
彼女の実力を垣間見て、驚嘆するユウガオ。
「お父様は、自分の身はある程度自分で守れるように……と、幼少の頃から高名な武闘家を雇って護身術を習わせてくれました。今ではその先生から免許皆伝を頂き、村の子どもたちに教えているくらいです」
人には意外な一面があるものだ。
彼女が仲間に加われば、戦力外どころか即戦力じゃないか。
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