2.不幸の兆し

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 私たちの旅の目的は"魔王討伐"という、選ばれし勇者以外には成し遂げられないもの。  迷子の子猫ちゃん探しなんて、村人たち総出でやればいいだけのこと。わざわざ勇者様が出る幕なんかじゃない。  それを、なぜタカオもユウガオもやる気満々なわけ?森の中には魔族がいるかもしれないですって?  だったら、こんな依頼速攻で終わらせてやるーー  「お嬢様を探すのは、容貌がわからねば難しいでしょう。屋敷に肖像画が御座います。是非いらしてください」  私たちは村長の使用人に(いざな)われ、屋敷へと向かった。  「なんて大きな屋敷……」  立ち並ぶ民家とは少し離れた高台に、村長が住まう立派な屋敷があった。  ここの長は、一般の村人たちを下々の民として見下しているのだろう……建物の在り方をひと目見ただけでそう思えた。
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