秘密基地万歳

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 24歳にもなって秘密基地を作ってしまった。  作って後悔はしてないが、己の幼稚さに笑えてくる。  俺は大卒で、IT企業の若手エリート正社員で、結婚を考えている彼女がいる。  そんな俺が、なんたってこんな場所に秘密基地なんか……。  ここは俺の背を遥かに超えるひまわり畑。いや、畑と呼んでいいものか分からない。何故ならここは捨て置かれた土地で、もう何年も瓦礫に埋もれている無人地域だったからだ。  それが、ある日突然相当成長したひまわりたちで覆われたのだ。  足を踏み入れるとその広さをより実感する。くねくね進んだ先には、ぽっかりと丸い空き地があった。瓦礫が所々に積まれている。  これはもう、秘密基地を作るしかないと、そう思ったのだ。  驚いたことに、仕事終わりの2日間で立派な家ができてしまった。天井は低いが、隙間風が入る余地などないほど精巧に作られている。もちろんオシャレな窓も作った。  でも、このことは彼女には内緒にしておこう。  ここにももう来ないでおこう。  幼稚な面を見せたくないというわけではない。俺に情報処理の才能だけでなく、建築の才能があると知ったら、彼女は凹んでしまうだろうからなあ。
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