秘密基地万歳

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 俺は瓦礫町で生活していたホームレスだ。  大した才能は無い。ただちょっと宇宙人と交信できるだけだ。  だがそのちんけな才能が、最近厄介なことを巻き起こした。  突然目の前に宇宙人の円盤が現れたかと思ったら、中にいる宇宙人が、調査のためにひまわりを大量に寄越せと言ってきた。  出来なければ人類の半分をキャトルミューティレーションだ。とも言われた。  俺は頭を抱えた。  花を買う金などない。このご時世、自然世界に花など咲いていない。  俺は地球の悲惨な未来を覚悟した。  だが先日。突然瓦礫町がひまわり畑と化したのだ。  宇宙人は相当喜んだのだろう。ひまわり畑の中心をごっそり持っていき、俺に立派な小屋をプレゼントしてくれた。  天井は低いが、雨風は凌げる。造りも頑丈だ。  この才能も捨てたもんじゃないなと、俺は自分の才能を誇らしく思った。  この小屋のことはホームレス仲間にはまだ秘密だ。もう少し一人で、このひまわりを堪能していたいからな。
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