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protection wall と計画
二見景子(ふたみけいこ)には秘密がある。
まず体力が続く限り、時間を二十四時間だけ巻き戻すという能力、これは隔世遺伝で、たまたま先祖の能力を受け継いだのだ。
この能力のおかげで、幸か不幸かときどき父の恵介が勤める自衛隊のアルバイトをしている。
さらにコンビで事件を解決しているゴンタロウが戦闘アンドロイド。かれはパワードスーツとしての機能があり、ロボット三原則で人間を傷つけることができないので、景子が着用することで犯人を捕らえており、今のところ成功率百%、彼女から逃れた犯人はいない。
まさに秘密のデパートと化している景子だが、さらに秘密を抱えることになった。
国家機密だ。
きっかけは皮肉にも今までの活躍だった。
恵介は用心深く、たとえ自衛隊の三佐でも迂闊に国家を信用することはなく、景子の能力は予知夢と、上層部に嘘の報告をしていた。
時間を巻き戻せば、時代が修正されて自衛隊で解決できなかった事件がなかったことになってしまう。
よって、だれも気がつかない。
という利点があった。
もし、これがバレれば、国は景子を恐れて排除するかもしれない。だからこそ占いめいた予知能力と嘘をついていたのだった。
とにもかくにも彼女の活躍が超能力を本格的に研究するきっかけになり、密かに国が予知夢の研究チームが設立するほどになっている。
超能力が捜査に応用できるんなら逆もまた真なり、超能力犯罪が予想されるからだ。
もしテロリストが念力やテレポーションを使えば、人海戦術が頼みの綱のセキュリティなど経費が掛かるだけの無意味なものになってしまう。
そればかりではない。
ロボットやドローンを利用する特殊テロも珍しくなくなっている。
もはや自衛隊や警察の組織力だけでは治安の維持が難しくなっているのだ。
じつは恵介が所属している秘密機関では対テロ対策として、景子本人は知らないものの、彼女はプログラムに組み込まれている。
なんせ時間を巻き戻しては敵の手の内を探って逮捕してしまうのだ。まさに究極のあとだしジャンケン。いわばズルだが、これはゲームでもなんでもない。結果がよければすべてよし――まさに鉄壁のディフェンスといっていい防御システムだった。
よって驚異のテロリスト検挙率百%は各国でも話題になっていた。
もちろん景子の能力はトップシークレットで、父親の恵介を含めた、ほんの数人しか知らない。
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