腹の中の黒い塊の中にある大事な大事な隠し事

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腹の中の黒い塊の中にある大事な大事な隠し事

「ご飯だよー、早く起きなさーい。」 お母さんが呼んでる。返事をしなければ。 「起きてるよー。今日のご飯は何ー?」 「パパのサンドウィッチだよー」 私は素早く起き上がって着替え、下へ降りて行った。 「ジャーン!パパスペシャルモーニングでーす!」 「おおおお!!!美味しそう!さすがパパ。いただきまーす。」 何気ない家族の朝の会話。どこにでもいるような家族の会話だがわたしにはこれ一つ一つが悪魔の囁きにしか聞こえない。 普段はとても優しい声をするお母さんも、美味しいご飯を作ってくれるお父さんも、の気分、機嫌で悪魔に変わる。 機嫌が悪くなったり、私が言ったことが図星だったりするとまるでスイッチを入れてパネルがパッと変わるように表情など性格ごと音と共に入れ替わる。お母さんは怒り狂い矛盾な言葉ばかりを並べて大声で私を責め、怒鳴り、強制的に否定する。例えば数時間前に「お母さんはいつも味方だからね」と言っても機嫌が悪くなると「あんたなんてね、いつ味方がいなくなってもおかしくないのよ!!!私だってあんたになんかの味方になりたくないわ!」なんて言ってくるしお父さんはお母さんのあのよりもっとたちが悪い。矛盾した言葉の上に暴力と暴言。機嫌が悪くなるとまず「出来損ない」だの「こんな家なんかにいらない。出て行け」だの「死ね」だの永遠とゴミを見るような目で私をみながらほざいてる。そして間違っていることを教えたり私はやっていないと否定したりすると殴ってくる。経験上、お父さんに殴られ壁に頭をぶつけ怪我したことや何度も腹や足を蹴られたことも、腕を外された時だってあったし「死ね」と言われながら首を締められたこともあった。 これだけならまだいい。だが、この人たちは覚えていないのか自分は言っていない、やっていないと否定するのだ! 一度だけそういうことを言うのをやめて欲しいと暴言を言われた日の次の週に言ったことがある。そしたら「?誰に?」と言ってきたのである。やったと自覚しているならやったということがあの人たちの中に刻まれているはずなのだから、さぞ胸糞悪いだろうが覚えていないと分かったその時、私は頭から魂のような火のような怒りが燃え、腹の中で大きなブラックホールのような塊がぐるぐると喉から胸へ、胃へそして腹の方へとゆっくりじわじわと通っていた覚えがある。それからしばらく気分が最悪だったことも、体がずっと重かったことも。 私はどんどん壊れていった。やられやってないと言われ、優しい両親と悪魔のような人柄の両親ともう何回目かわからないほどのループを続けた日、ついに 「お前なんてこの世に必要ない。消えろ」 と言われた。その時心臓の中にある私の感情が、プライドが、今まで保たれていた幸せな姿の「私」が音を立てて壊れたのがわかった。 そのあとしばらく私の顔は、感情は死んでいた。その間学校で何をしたかも誰かと接していた記憶もなかった。私はひととき廃人になったのだった。 それから数年後の今、私は廃人からなんとか抜け出しを作って過ごしている。プライドもない、何かに一生懸命になったり怒りという感情も悔しいと言う感情も「諦め」と言う名の逃げ道にたどり着いてしまう。 私はずっとニコニコ笑っている。今日も明日もその次の日も。諦めという感情を隠すために、自分のネガティブ発言を笑い飛ばしてみんなが聞き流してくれるように、そして両親の裏表の顔の恐怖に負けないように。 これが正しい解決法かわからない。いや、きっと違うのだろう。ただただ私が楽な方へ、逃げ道へと進んでいるだけなのだ。 それでも私は私の心が完全に壊れないようにこれからもずっとやり過ごすのだろう。救いの手が伸びてくるだのそんなの幻想に過ぎないのだから。 これが私の隠し事。
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