藍色の夢

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「直接的なことは、過干渉になるから言えないけど。ひとつ、助言してあげるわ」 「お願いいたします」  私は深々と頭を下げた。  静まり返った空間で、神使の方が言葉を発するまで。  ずいぶんと、長い時のように感じられた。 「──ありあけの月のように、生きてごらんなさい」  耳に届いた不可思議な御神託。  私は思わず顔を上げてしまった。 「……ありあけ、の……?」 「訳がわからないって顔をしてるけど、これ以上は教えられないから。後は自分で考えるのよ」  やさしく諭してくださる神使の方。  たしかに。本来ならば、何も知らずに人生を歩まねばならぬ。 「はい、ありがとうございます。精進して参ります」  お礼を申し上げ、私はハッとした。神使の方の神気が、薄れてきていた。 「長々とお時間を頂戴してしまい、申し訳ございません」 「いいのよ。あなたのためになったのなら、それで」  私のためと仰りながら、私を通してお祖父様を見ていらしたように思う。 「おかげさまで、いくぶんか心が晴れたような気がいたします」 「それは何よりだわ」 「そろそろお暇いたしますゆえ、あなた様もお休みになってくださいませ」 「ふふ。お気遣い、ありがと」  良い子ね、と頭を撫でてくださった。その優しい手つきは、お祖父様と少しだけ似ているような気がした。 「……じゃあ、送るわね」 「はい。ご親切に、ありがとうございました」  改めてお礼を申し上げた私に、微笑まれた神使の方。静かに離された手が、少しずつ遠のいていく。  私の意識も、少しずつ。 「……こんな形でしか、伝えられなくて、ごめんなさい……あなたの、お祖父様は──」  呟くように発せられた悲愴な声も、しだいに遠のいて──
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