藍色の夢

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 ひとつ気づくと、いくつものことに気づいた。  神の眷属であるはずの方が、神気をすり減らしていらっしゃること。  私を通して、どなたかを見ていらっしゃること。  この方から、わずかに熱田のお祖父様の霊力を感じること。  ひとつひとつを線でつなぐと、今のお祖父様の姿に行きついてしまった。  私が生まれてから熱田を離れ、我が家の傍に小さな邸を構えていらっしゃるのだが……  昨年より床に臥されることが多くなり、容態は一進一退を繰り返している。診てくださっている薬師殿は、 『よく……ここまで、生き永らえておいでです』  と仰っていた。  たびたび見舞いに伺う私は、ずっと気にかかっていたのだ。お祖父様を守るように包み込む、清らかであたたかな〝気〟の正体を── 「……無礼を承知で、お訊ね申し上げます」  臣下の礼を取り直した私の声は、己が思うよりも緊張していた。  空気の震えにより、神使の方が肩を震わせたのが伝わってきた。だが止められることはなかった。  私はそれに甘え、 「祖父の、命の灯火を留めてくださっているのは……あなた様と拝察いたしますが……いかがでございましょうか?」  視線を落として問いを口にした。  沈黙が、空間に広がる頃。 「……本当に、聡い子なのね。聞いてたとおりだわ」  神使の方は、儚げな声で苦笑なさった。 「顔を……上げて」  許可を得た私は、手の形はそのままに、ゆっくりと姿勢を正した。
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