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☆3☆ ①
はぁ……。
今日も朝からため息が止まらない。
この学園での最大のイベントであるダンスパーティが近いのだ。
ここに集まる多くの王子たち。種族を超え番を見つけるという事もこの学園の存在意義の一つだ。いや、国同士の友好のために一番の目的なのかもしれない。
でも僕は……不完全なΩだからαと番うことなんて夢のまた夢。
Ωなのにαのフェロモンを感じ取ることができないのだ。それに発情期もこない。小さい頃高熱を出して一週間寝込んだのが原因なんだろうか?
熱を出す前後の記憶がすっぽり抜けていて思い出せないのだが、あの時に何かあったのだろうか?
考え事をしながら廊下を歩いているといきなり腕を掴まれた。
「ラットラル! 探したぞ! 今からダンスの練習をしよう!」
キャトルニアである。
「僕と……ですか?」
「そうだぞ。他に誰がいるんだ?」
キャトルニアは、きょとんとした顔で首を傾げた。
「う……はい」
手を掴まれたままダンスホールに連れていかれた。
「では、踊るぞー。ワンツースリーワンツースリー」
「ちゅっ」
キャトルニアの元気がよすぎてただでさえ体格差があるのだから振り回されるだけになっていた。
う……気持ち悪い。
ダンスってこんなのだっけ……?
胃からこみあげて来る物を感じながら必死で踊った。(振り回された)
「こんなもんかなー?」
一時間ほどして満足気に頷くキャトルニア。
ラットラルは遠い目をしていた。
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