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帰って来たハルさん
「今夜飲む人、この指とーまれ」
ローズマリーがやってきた。
わざとそっぽを向いたサンライズの前に回り込み、無理やり人さし指をつかんで自分の指にかぶせる。
「やめてください、センパイ。それってセクハラですか?」
「サンちゃん」
ローズマリーが急に手を離した。
「ハルさん、退院したよ」
「えっ」
サンライズの顔も輝く。しかしすぐに眉を寄せて
「それですぐ飲みに行くの? 信じらんねえ」
それでも急に引き出しの中をかき回し、
「あった」
ちょっと角のくたびれた出張旅費精算書を引っぱり出す。
「……これさ、近い場所だったから出すの忘れてたけど、通してくれるかなあ」
いそいそと、総務のフロアへ出かけていった。
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