『羊を騙す狼の様な狡猾さ』

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 ぞくりとした。  錦は止めていた足を踏み出した。  少しだけ速度を上げて、車と男の間を通り過ぎようとしたその時、男の手が伸び冷たい感触が頬に広がる。 「なっ?」  突然の事に驚いて、見上げると男が目の前で笑っていた。  頬に押し付けられたのは、彼が飲んでいたコーラのペットボトルだ。  冷たい水滴が肌にしたたり落ちた。  
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