『羊を騙す狼の様な狡猾さ』

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 「やぁ御機嫌よう。横型ランドセルとセーラーカラーの夏服がイケてるお嬢さん。今日は暑いね。良かったら乗ってかないかい? 僕の車冷房ガンガンに効いてるよ?」 「いきなり人の頬にペットボトル押し付けておいて何ですか」 「え? 気持ちよくなかった? ごめんごめん。炭酸飲める? 本当今日も暑いよねぇ。君をまってたんだ。早く車に乗ろう」 「もしかして、最近出没したという変質者か?」 暑い中ジュースを飲みながら子供を物色し、こうして手あたり次第声をかけているのかと眉をひそめる。 「人違いじゃないの?」 「言動からしてほぼ間違いないと判断されても文句は言えないぞ。俺からの助言は一つだ。自首しろ」 「あぁ、あれか。そういえば、最近この辺りで子供が車に引きずり込まれかけたとかいう事件か。あれ? 引きずり込まれたんだっけ? 未遂?」
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