『真実など何も知らない愛されている子供で有り続けることは酷く苦痛だ。』

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 七月二十日火曜日、快晴。  昨日の雨が嘘の様な綺麗な青空。  一学期最後の登校日に相応しい天気だ。  終業式を終え、明日から夏休みが始まる。  帰り支度をすませ教室を足早に出る者もいれば、友人同士で騒ぎ続けている者もいる。  教室内に留まっている生徒の大半は親の迎えを待っているのだ。  退屈とは無縁の弾けんばかりの笑顔が並んでいる。  家族旅行の行き先を話題にし互いに土産を買う約束をしたり、友人同士で何処に遊びに行くか計画を立て、随分と盛り上がっていた。
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