『一緒に思い出を作ろうか』

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『――俺は必要な子供だった?』  存在価値がないと思いながらも、僅かな希望が両親に問いかけ続けていた。  諦めながらも、なけなしの矜持が疑問を持ち続けていた。  しかし錦の中で『答えは出ていた』から、止めを刺してほしいと思う程に抱えていた孤独感は臨界点を超えようとしていた。  誘拐犯と思い込んだ相手に、己の身を任せるまで、錦自身は追い込まれていたのだ。  そこに、もしも義兄が現れたら――居場所を完全に失ったと、不安定だった錦の心はバランスを失い完膚なきまでに砕け壊れていただろう。
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