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大雨の中、哀は学校の門を出るというところで盛大に転けた。
「ほーら、やっぱり転けた」
「桜ぁ、ジャージ貸してぇ」
帰れないほどぐしゃぐしゃに制服を濡らした哀。まるで捨てられた子犬のような姿を見て、私は哀にジャージを貸した。
着替える為に校舎に戻ると、大量の下駄箱が並ぶ玄関は生徒で溢れかえっている。
一番玄関に近いトイレへ行くにはここを逆流しなければならない。まるで鯉が滝を登るようだ。
「渡り廊下側のドアから行こうか」
現実的に考えて、鯉は竜になれない。
私たちは玄関に背を向けた。
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