隠しごと

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隠しごと

 春……。それはうららかな季節。そして出会いと別れの季節。始まりと終わりの季節。  しかし、続くものも中にはある。これは、中学からの腐れ縁で、そのまま高校でも同じクラスとなった、県立百済内(くだらない)高校に通う男子高校生3人による、くだらない物語であるーー  放課後。校庭からは掛け声が、校舎内では楽器の音が広がる。  あまり使用されることのない第2理科準備室では、とある部活動が行われていた。その名は、語り部。  スポーツは面倒臭い、文化部には興味がない、ならば自分たちで部を作り、帰宅部ではありませんアピールをして、この先を適当に過ごそうと、ひと月前に申請した結果、許された新設の部活動である。  活動内容はこの学校について語ること。実に中身の無い部活である。メンバーは、中学からずっとつるみ、仲の良さに定評がある男子三人。  テーブルを囲む三人は椅子に座り、神妙な面持ちでいた。静寂が包む中、世紀末の三銃士のように険しい面持ちを続ける三人……だったが、とうとうそれにしびれを切らし 「…………何なんだよ、この時間っ!」  と声を上げる男子は、見た目、頭脳、言動、名前全てが普通水準のミスター普通こと、タイチ。  その真向いでビクッと体を跳ねさせ 「うわびっくりっ、どうしたミスター普通」  と引き気味に問いかけるのは、中二病の入ったアニメ好きイケメンもといイタメンこと、マサハル。 「やめろ、その呼び方! 入って来たらお前らなんも返事しないから、俺もそういう何かかと思って、それに乗って一緒に黙とうみたいなことしてたけど……。
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