いつものカフェで

1/1
85人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ

いつものカフェで

いつものカフェで奈緒子と弘樹は待ち合わせていた。2人は会社の同期で、最初は同期6人ほどで会っていたのだが、いつのまにやらそれぞれに彼氏、彼女を作り、残ったのが2人だったのだ。今日、弘樹は奈緒子に言うことがあった。 いつも通り奈緒子は先に来ていて、アイスミルクティーを飲んでいた。約束の時間を10分過ぎて、弘樹が現れた。 「遅くなってごめん!」 「いつものことじゃない」 「あぁ、そうだな」 弘樹は苦笑するとウェイターにカフェオレをオーダーした。 「奈緒子、実は、僕・・・」 「知ってる。栄転でしょ?大阪支店で課長に。おめでとう!」 知ってたか。出来れば、僕の口から知らせたかったな。 「ありがとう。来月頭から大阪だ。こっちにいられるのはあと5日くらいだな。それで・・・」 「サヨナラ、でしょ?」 奈緒子が哀しげに言った。違う、そうじゃない。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!