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ル・シエル
カフェを出て、梅田の街に出る。土曜だけあって、人出も多い。奈緒子は弘樹の手をギュッと握って歩いた。下調べしていた雑貨店、ル・シエルが近づいてくる。
「あぁ、あの角の店だ。結構大きいな。3階建てか」
「色々見られそうね。でも、まぁ、とりあえずは鍋とフライパンと、食器類だね」
「だな」
ル・シエルは水色を基調にしたインテリアで、感じが良かった。”Kitchen goods”は、2階、と表示されていたのでエスカレーターで2階に向かう。広いフロアに、いろいろなキッチングッズが整然と並んでいる。店のPOPが可愛くて、冷たい感じはしない。
「さて、と。まずは鍋かぁ。どのくらいの大きさ?」
弘樹が、ちょっと困ったように奈緒子に言うとすかさず店員さんが近寄ってきた。
「いらっしゃいませ。新生活でいらっしゃいますか?」
「はい、そうなんです。鍋もフライパンも何もなくて・・・」
「じゃあ、こちらはいかがでしょう?セール中なんですが、ティファールのセットで持ち手2つに鍋大・中・小、フライパン、深めのフライパンのセットで税抜7500円です」
「奈緒子、どうする?」
「う~ん、じゃあ、それをひとつの候補として、いろいろ見てみます」
「承知しました。ごゆっくりどうぞ」
鍋、フライパン類をゆっくりと見て回った。結婚することを考えると、あれくらいは揃っていたほうが良いかも知れないな、と弘樹はこっそり思う。
「やっぱり、別々に買うと結構しちゃうね?あと、フライ返しとか、お玉とか、菜箸とかもいるね」
「あぁ、そうだな」
料理慣れしているのか、こう言うことに関しては奈緒子の方が強いようだ。
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