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ひと通り見て回って、さっきのティファールのセット、お玉、フライ返し、菜箸、計量カップ、計量スプーン、食器もろもろ、を買ったら結構な量になった。
「発送をお願いします」
弘樹がカウンターで住所等を記入している間、奈緒子は少ししたら始まるふたりの生活を想像していた。きっと、いっぱい楽しいことが待っている。
「お待たせ。明日には着くってさ。奈緒子も確認したいだろうから、午前中にしたよ」
「ありがとう。ちょっと疲れちゃったね」
気のせいか、奈緒子は少し青ざめているように弘樹には思えた。
「どこか調子悪い?」
「ちょっとお腹が・・・なったかも。ちょっと、トイレ行ってくる」
?・・・なった?あぁ、そっか。納得した弘樹だった。
しばらくして、奈緒子がトイレから出てきた。
「やっぱ、始まってた。どこかで少し休んでから帰る、でいい?ちょっと気分も悪い。あ、予定通りだったから、用意はしてたんだけどね」
「もちろん。どこに行こうか?近くのカフェでいい?」
「スタバ、あったよね。ソファ席あったし、そこがいいかな」
「了解」
店を出て、ゆっくりとスタバまで歩いた。幸運なことにソファ席が空いていて、ゆっくりと2人でラテを飲んだ。
「大丈夫か?」
心配そうな顔で、奈緒子の顔を覗き込む弘樹。
「うん。あったかいの飲んだら大分落ち着いてきた。ありがとう。」
「よかった。帰れるようになったら言って。夕食も外食、と思ってたけど。あんまり動くの辛いよな。デリバリーにしよっか」
弘樹は、優しい。どこまでも優しい。こんな人に出会えて・・・。
「私、幸せだよ、弘樹」
「なっ、なにをとーとつにっ!」
ボッ、と赤くなった弘樹を見て、今の幸せを噛みしめる奈緒子なのだった。
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