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「こんなにも無駄な事情があるのか」
資料を眺める市長に、黒崎は顎を上げ勝ち誇った顔で説明を加える。
「ええ、残念なことに、長年の慣習に固執し、多くの不必要な事業に税金が投入されていました」
市長はリストを上から順に指で示しながら確認したが、ある項目で動きが止まった。
「あっ!」
市長はリストを見ながら小さな声で驚いた。
「どうしました市長?」
「夕べの放送が入っているじゃないか」
「はい。これこそ、何十年も続けてきた慣習を、何の効果やニーズもなく継続している事業の象徴です。今の子供には不要な放送です」
女性は自信満々に説明したが、市長は赤ペンでその放送事業にだけ斜線を引いた。
「これはリストから外してくれ。事業継続だ」
「市、市長どうして?」
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