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特別改革チームの若い女性・黒崎が、机に置いた予算書類の項目をペンで指し示しながら説明を求めてきた。彼女の襟には、ひまわりと天秤をモチーフにした記章が付いていて、弁護士であることが強調されていた。
「それはですね、市内の子供たちが、夕方、家に帰宅するのを促すための放送です」
神山が答えると、黒崎は、まるで神山にわざと聞かせるように鼻で笑った。
そういえば、先週、隣の保育課の連中も、この特別改革チームの調査を受け、
「大変な目にあった」、
「リーダーの若い女弁護士は美人だけどえげつない」
と言っていた。
これまで長年続けてきた慣習は一から見直すように指示されたらしい。
「失礼ですけど、神山さんはお幾つですか?」
黒崎は、敬語こそ使うが係長の神山を明らかに見下していた。
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